リハサクがよく使われる病気は?

【この記事はこんな方におすすめ!】

  • リハサクがよく使われている病気が、何かを知りたい方
  • その病気に、提供されている運動メニューの種類を知りたい方

【調査のポイント】

  • リハサクの病気に関する運動プログラムのパッケージの中でよく使われているのは、肩関節・腰部・股関節・膝関節の病気であった
  • 肩関節・腰部の病気では、初期設定の運動プログラムが変更されることが多く、股関節・膝関節の病気では、初期設定のままで処方されることが多い
  • ストレッチや自動運動は、そのまま処方されることが多く、道具を利用する運動は変更される傾向にあった
  • 膝関節以外では、処方される運動プログラムの内容はストレッチ中心であった

【調査背景】

リハサクは、セラピストが臨床でよく担当する病気に対する運動プログラムのパッケージ(以下、パッケージ)を、身体の部位別に用意しています。

セラピストは、パッケージの中から患者の病気に合わせた運動プログラムを選び、簡単に運動プログラムを作ることができます。また、運動プログラムの内容を、患者の症状に合わせて調整することも可能です。

本調査では、リハサクでよく利用される病気のパッケージの利用状況を調べ、運動プログラムを作成するときの、参考資料を提供することを目的としました。

【調査結果】

[パッケージの利用状況]

18,770件の運動プログラム処方が、調査の対象となりました。処方数上位10個のパッケージの中の、病気に関する5個のパッケージを調査対象としました。肩関節周囲炎と腰部脊柱管狭窄症のパッケージでは、おおよそ70%が内容を変更して処方されていました。一方、変形性膝関節症と股関節唇損傷のパッケージは、多くがそのまま処方されていました(表1)。

表1.処方数トップ10内に入っている病気に関するパッケージの利用状況

順位 病気の名前 パッケージ名 総処方数 内容の

変更数

内容の

変更率

5 肩関節周囲炎 日常生活動作(物をとる、後ろに手を回すなど)で痛み 177 125 71%
7 変形性膝関節症(膝OA) 日常生活動作(歩行、座位からの1歩目、階段、しゃがみ込みなど)で痛み 161 86 53%
8 股関節唇損傷 日常生活で軽い痛み 158 69 44%
9 肩関節周囲炎 痛みが強い(急性期) 153 106 69%
10 腰部脊柱管狭窄症 動作を継続した(長時間の歩行など)で痛み 153 99 65%

順位は処方数トップ10のパッケージの中での順位を示しています

[パッケージ内の運動メニューの利用状況]

パッケージに始めから入っている運動メニューの中で、ストレッチや自動運動にあたるメニューは、そのまま利用されていることが多かったです。一方、道具を利用するメニューは、変更・削除される傾向にありました。

変更・追加された運動メニューは、変形性膝関節症を除いて、ストレッチであることが多く、難易度は1または2でした。図1〜5に、パッケージごとの運動メニューの利用状況を示しました。

図1

図2

図3

図4

図5

【分析者からユーザーへのコメント】

本調査により、リハサクでよく利用される病気に関する運動プログラムの使われ方が、明らかになりました。ストレッチや自動運動は、そのまま処方されることが多く、道具が必要な運動は、変更される傾向にありました。また、変形性膝関節症以外では、運動プログラムの内容が、ストレッチと自動運動中心となっていました。

慢性の痛みに対しては、ストレッチだけではなく、筋力トレーニング(筋トレ)を組み合わせて運動を行うことが、勧められています1)。今回の結果を見ると、肩関節周囲炎(急性期)、変形性膝関節症以外の3つの病気では、筋トレが十分に行われていない可能性があります。例えば、腱板損傷において、筋トレは、痛みを和らげ、肩関節の機能を良くするとされています2)。セラピストの皆様は、患者が筋トレをする時の痛みの有無や、痛みの強さ、運動への不安感・恐怖感などを聞き取りながら、患者さん一人ひとりに合った筋トレを選ぶ必要があります。

リハサクのほとんどのパッケージには、始めから、エビデンスを参考に選んだ効果の期待できる筋トレが入っています。また、その筋トレと同じような効果がある、別の種類の筋トレを提案する機能もあります。肩関節や腰部の病気を持つ患者に、どのような筋トレをしてもらえば良いか悩んでいる方は、ぜひリハサクのパッケージを使ってみてください。

【参考文献】

1) Geneen LJ, et al. Physical activity and exercise for chronic pain in adults: an overview of Cochrane Reviews. Cochrane Database Syst Rev. 2017;1(1):CD011279.

2) Littlewood C, et al. Exercise for rotator cuff tendinopathy: a systematic review. Physiotherapy. 2012;98(2):101-9.

【調査方法】

調査期間:

2020年5月18日〜2020年3月31日

調査対象:

リハサクのパッケージを使って処方された、全ての運動プログラムの中で、処方数上位10個のパッケージに入っていた、病気に関するパッケージ

調査項目:

  • 総処方数
  • パッケージ内容の変更率
  • パッケージに始めから入っている、各運動メニューの処方率*1
  • パッケージに入っておらず、変更または追加された各運動メニューの種類とその処方率*2
  • 全運動メニューの難易度

解析方法:

  • パッケージ変更のあり・なし:内容の一部でも変更があった場合に、変更されたと判定
  • パッケージに始めから入っている運動メニューの利用状況:処方率が、60%以下の場合に「よく変更・削除されるメニュー」と判定
  • パッケージに入っておらず、変更・追加された運動メニューの利用状況:処方率が2%以上の運動メニューに限定して掲載

執筆者

岩倉正浩 理学療法士

(認定理学療法士(呼吸・介護予防))

【所属】

独立行政法人 市立秋田総合病院 リハビリテーション科

【経歴】

平成26年3月 秋田大学医学部保健学科 理学療法学専攻卒業(理学療法士免許取得)

平成26年4月 独立行政法人 市立秋田総合病院 入職

平成30年3月 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻 博士後期課程 修了(保健学博士)

【研究分野】

呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患)、呼吸リハビリテーション

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