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2019.02.05

障害予測は可能か?

障害するリスクの予想

スポーツ障害のリハビリを進めていき、スポーツ復帰をする上で再受傷しないかまたスポーツチームに帯同していて選手がそのシーズンで障害をしないかという予測はとても重要なものです。

それではある人が将来的に障害するリスクを予想できるのでしょうか?

スクリーニングで障害する人としない人を分けることができるか?

障害予測をするためにはカットオフ値というリスクが高い群と低い群を分ける値が必要です。

つまり、ある値を上回るか下回るかでその人の障害を予測するということです。

そのため、スクリーニングテストを用いて前向きに研究し怪我をする人としない人で何か特徴の違いはあるかという研究がなされてきました。

ACLのスクリーニングテスト

ACLでもっとも大規模な前向き研究が710人のアスリートを対象に、the Hewett testと呼ばれる着地してジャンプする際の運動様式を調べたものです。

5つの要素(着地時の膝外反角度、膝の外転モーメント、膝最大屈曲角度、垂直方向の最大床反力及び膝の内側変位)を調べた結果、膝の内側への変位のみ(5mm程度)有意差が認められなかったことから、このテストではACLの障害を予測できないということになりました(1)。

ハムストリングスのスクリーニングテスト

ハムストリングスの最近の前向き研究では614人のプロのサッカー選手に対して、膝の屈曲と伸展の筋力を測定しました。 その結果、大腿四頭筋の求心性収縮とハムストリングスの遠心性収縮に有意差がみられました。

しかし、その違いはそれぞれ6.9 N·m と 9.1 N·mで分布図に大きなオーバラップもみられました(2)。

まとめ

これらの研究からわかることは、二つの研究とも怪我をする人しない人では有意差がみられるもののその違いがとても小さいこと。 そして、それら二群の分布図の重なりが大きいことから綺麗にカットオフ値を設定できないことです。

例えば、ACLの研究を例にとると、5mmという有意差が出てはいるが、その値をカットオフにして怪我をする人しない人を分けることができません。

つまり、目の前の人対象にしてこれらのスクリーニングテストをしたとしても『あなたは将来的に○○の怪我をします』と自信を持って言えないということです(3)。

今後も引き続き両疾患のスクリーニングテストの研究や、その他の疾患のスクリーニングも調査していき報告します。

参考文献

  1. (1)Krosshaug T, Steffen K, Kristianslund E, et al. The Vertical Drop Jump Is a Poor Screening Test for ACL Injuries in Female Elite Soccer and Handball Players: A Prospective Cohort Study of 710 Athletes. (1552-3365 (Electronic)).
  2. (2)van Dyk N, Bahr R, Whiteley R, et al. Hamstring and Quadriceps Isokinetic Strength Deficits Are Weak Risk Factors for Hamstring Strain Injuries: A 4-Year Cohort Study. Am J Sports Med. 2016;44(7):1789-1795.
  3. (3)Bahr R. Why screening tests to predict injury do not work-and probably never will…: a critical review. (1473-0480 (Electronic)).

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